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Re: ロックマンツルギ第11話 挿絵

 投稿者:流星のD-REX=ZZX(管理人)  投稿日:2019年 4月21日(日)10時38分9秒 i114-184-162-227.s41.a014.ap.plala.or.jp
返信・引用
  > No.29[元記事へ]

レス遅れました。
挿絵お待ちしておりました!どちらも該当シーンの雰囲気が良く出ておりますね。
次回更新時挿絵と共に掲載させて頂きます。

http://www42.tok2.com/home/drex/index.html

 
 

ロックマンツルギ第11話 挿絵

 投稿者:ZZZ  投稿日:2019年 4月17日(水)17時27分1秒 ysg110-050-010-040.dojyokko.ne.jp
返信・引用 編集済
  11話の挿絵が完成したので、無分割版の記事内に追加致しました。

→ tp://zzznkbot.blog.fc2.com/blog-entry-30.html   (パスワード:zzz425981)
 

(無題)

 投稿者:√エレック  投稿日:2019年 3月24日(日)17時54分11秒 i60-47-39-96.s42.a015.ap.plala.or.jp
返信・引用
  剣が無事に元に戻って何よりです。
戦闘シーンも迫力で、デルタの謎の言葉の意味が気になるところです。
戦闘での2人の連携プレイが見事でした。

http://climbtorock.web.fc2.com/

 

Re: ロックマンツルギ 第11話「 DELTA STAGE 」前半

 投稿者:流星のD-REX=ZZX(管理人)  投稿日:2019年 3月17日(日)12時55分48秒 i114-184-162-227.s41.a014.ap.plala.or.jp
返信・引用
  > No.12[元記事へ]

更新お待ちしておりました!
再投稿を除けば新掲示板での初の投稿となりますね。
この方法で投稿して頂き助かります。
当時第2作を執筆中だった小説掲示板設置前に通常掲示板に小説を投稿していた時代を思い出しました。
本編ですが今回よりスぺボス戦に突入しましたね。
戦闘シーンは迫力のみならず頭脳プレーの描写も見事でした。
コアトルス戦では実際にゲームをプレイしている時ボスとの戦闘中にそのボスが反撃のチャンスとなる攻撃を
中々出してこない事への苛立ちを覚えた事、そして目当ての攻撃を出した時「待ってたぞ!」と思った事を思い出しました。
剣戦では目を狙うのは巨大ボス戦では定番ですが人間サイズとなると至難の業ですね。
玲とのコンビネーションで剣は救い出せたものの剣と玲はロックコマンダーを失ってしまい大幅な戦力ダウンになったのは痛手ですね。
その一方で敵側にはデルタの他にもグレッゲージが残っており厳しい展開です。
デルタの目的ですが何やら自作自演というか茶番劇のような雰囲気があり部外者からすればただただはた迷惑な印象です。
その目的のために造られたのならデルタナンバーズは彼の被害者かもしれません。
次回、そして挿絵も楽しみにしております!

http://www42.tok2.com/home/drex/index.html

 

ロックマンツルギ 第11話「 DELTA STAGE 」前半

 投稿者:ZZZ  投稿日:2019年 3月14日(木)11時12分21秒 ysg110-050-010-040.dojyokko.ne.jp
返信・引用
  > No.11[元記事へ]

【8月20日 深夜】

 新宿一帯の街は未だ、光のドームと呼ばれるバリアに囚われていた。
 テレビにおいては、とある局がアニメやバラエティ番組を放送しているのを除いては、いずれも朝と同様に報道特別番組が放送されている。
 四谷や青山の大通りからの中継や、局に寄せられた視聴者提供の動画、街頭インタビューなどが、代わる代わる画面に映し出された。

《後輩がね、ちょうど光の壁のすぐ内側あたりにあるコンビニへ、トイレしに行ってたんですよ……で、あの光の壁がこう、シュパーって。ほいで、ロボットとかが暴れ始めるのが見えて》

 そんなTV放送を、劾の両親も家で観ていた。母・孝美が、ため息をつきながら言う。

「いつになったら解決するのかな、このロボット騒ぎ。こんな時だっていうのに劾は出かけてしまうし」
「心配かけやがってな、あいつは。でも、劾があんな真剣な顔をするのは久しぶりに見たな。高校受験の時以来……いや違うな。あの頃以上に真剣な顔だ。ほら、あいつは余り覇気のない子だろ。でも出かけていく時の劾はなんだか、別人みたいだった」
「私に言わせて貰うとね……しばらく前から、劾の顔つきは変わってた気がするの。上手く言えないけれど、やりたいことを見つけたっていう感じの」
《あっ、何だ!?》

リポーターが突如として上げた素っ頓狂な声に、話し込んでいた桜井夫妻の目がTV画面へと引き戻される。そこには、新宿通りの路上で眩い光を放つ、2つの人影が映し出されていた。

《何あれ…え、”ロックマン”!?…あ、えー、ロックマンです!ロックマンがここ、四谷に現れました!!》

 画面に見入る桜井夫妻。2人とも、ニュースなどの画像でロックマンの姿を目にすることはあった。しかし、こうしてリアルタイムで目にするのは初めてだったのだ。

「ロックマンか。彼らを心配したり帰りを待つ人も、何処かにいるんだろうか」
「いるよ。あの人たちが人間だとしたら、きっと」










 ロックスーツを装着した劾と玲。続けて2人は、それぞれロックチェイサーを呼び出して騎乗し、スロットルを捻る。

「行くよ!」
「ええ!」

 動力ユニットが唸りを上げ、走り出す車体。
 劾はロックバスターにチップを装填し、特殊武器を発動させる。

《BARRIER CANCELLER》

 発射された、虹色に輝く光弾。それがバリアに着弾した次の瞬間、着弾点を中心とした半径数メートルに渡り、バリアに孔が空く。

「よし、成功だ」

 見事に開いた孔は、しかしみるみる狭まっていく。劾と玲は加速し、一気にそれをくぐり抜けた。
 2人の姿を認めたメカニロイド達が、迎撃の構えをとる。地上の機体からはミサイルが、飛行型の機体からはエネルギー弾の掃射が襲い来る。

「ほらっ、こっちだよ!」

 そんな中、玲がスピードを上げて前へ出た。集中する敵弾を、玲は右、左、また右と目まぐるしく蛇行し躱していく。何機かのメカニロイドが、業を煮やしたように直接挑みかかる。格闘戦を仕掛けようとしているのだ。
 劾が、それらの全てをロックバスターで撃ち落とす。更に、前方に群がるメカニロイドへバスターを向け、チャージを開始する。特大のエネルギー弾、チャージバスターが、メカニロイドたちをまとめて吹き飛ばした。










 デルタはアジトの中で、劾と玲の進撃を観ていた。

「そうだ。その調子で進むんだ」

 多数のメカニロイドをちぎっては投げとばかりに撃破していく、2人のロックマン。その姿をモニター越しに見つめながら、デルタは呟く。

「そして……倒すんだ。”悪”を」










 四方八方から集まって来るメカニロイドをやりこめながら、劾と玲は走る。
 予定のルートではこの後、すぐ先の四谷4丁目交差点を通過し、長さ約800mの新宿御苑トンネルを抜け、そして新宿駅南口前を通過し、西新宿へ至ることになる。

「もうちょいでトンネルに……って、」
「アレじゃ通れない!?」

 トンネル入口には、大量のメカニロイドがずらりと、それも1列のみでなく複数列待ち構えている。集合写真の並びの如く、奥へ行くほど大型のメカが配置されており、全メカの銃口とミサイルが無駄なく構えられていた。

「ルート変更だ、靖国通りから行こう!」

 劾は4丁目交差点に突っ込むと、路面に倒れ込むのではないかというほど車体を傾け、北へ向かって交差点を曲がる。後に続く玲は、曲がる直前で、特殊武器"フラッシャーブロウ"を置き土産よろしくトンネルへ放った。数機のメカニロイドが切り裂かれ爆発、周囲の機体も巻き添えで破壊される。

「次の次の信号、”富久町西"を左!」
「よし!左ね!」

 メカニロイド達の強襲は続く。また、襲い来る飛行型に混じって、異なる種類の機体が出現していた。それは軽自動車ほどのサイズで、ブースターを吹かして空を飛んでいる。
 3機のブースター型は機敏に飛び回りながら、機体下面から砲を展開してエネルギー弾を撃つ。弾速は遅いがその威力は大きい。路面に着弾すれば大穴が開くし、直撃を受けた自動車は跡形もなく吹き飛ぶ。

「くっ…厄介だぞ、あいつ」
「桜井、あれは私がやる!」

 言うが早いか、玲はロックチェイサーを自動運転に切り替えて飛び降り、ダッシュジャンプと壁蹴りとエアダッシュを駆使して、付近のビルの屋上へ上がる。道路と平行に連続でダッシュし、ビルからビルへと跳んで渡りながら、ナイフガンで飛行型を次々と撃ち落とした。
 雑魚を片付けると、迫るブースター型へ向かって大きくダッシュジャンプしながら、チャージガンでブースター型の1機目を撃ち抜く。火を噴き墜ちていく1機目を踏み台に、また跳ぶ。
 2機目へフラッシャーブロウを放つ。更に、その向こうに居た3機目へ目掛けてエアダッシュをし、すれ違いざまにチャージナイフを見舞う。
 ほぼ同時に爆発四散する、3機のブースター型を尻目に、玲は再びロックチェイサーに飛び乗った。










 劾と玲は歌舞伎町に差し掛かった。200m程向こうには新宿駅北の高架線路、通称”大ガード”が見えている。
 と、その時。追っ手のメカニロイド達がいつの間にかいなくなっている事に、2人は気づく。ビルの上や路地からメカニロイドが飛び出してくることもない。
 2人は嫌な予感をおぼえ、ロックチェイサーを停めて周囲を見渡す。

「変だ、静か過ぎないか?もしかしてこの辺、何か罠が仕掛けてあるのかな……?」
「なら、トンネルを通れなくしたのはここに誘い込……ッ!?」
「うわ!?」

 突如として吹き荒れる突風。身をかがめて耐える2人の上空を、何かが通り過ぎていく。
 やがて風が止み、顔を上げる2人。その目に、空中に浮かぶレプリロイドの姿が飛び込んで来た。それは巨大な翼や嘴を有し、足には鋭利な爪を持ち、白とエメラルドグリーンのツートンカラーに身を包んだ、翼竜型の機体。

「お前は、ゲイルツァー・コアトルス?」
「如何にも。私がコアトルスだ」

コアトルスは落ち着き払った物腰で、劾の問いに答えた。

「言うまでもないと思うが。私の役目は、君たちと戦い撃退することだ」
「悪いけど、邪魔されてやる訳にいかないのよ!デルタを止めなきゃいけないんだから」
「そして同時に、私の望みは……君たちがデルタに”勝つ”ことだ」
「は…?」

 思いもよらぬ言葉に、劾と玲は困惑した。前半はもちろん理解できる。だが後半は不可解に過ぎた。敵であるロックマンが、主であるデルタに勝つ……そんな事を望むというのは。

「とはいえ役目は役目だ、本気でいかせてもらう。君らも……手加減は無用だ、本気で来い!」
「待て!今のはどういう……くっ!!」

 劾の問いかけに構わず、コアトルスは急上昇した。後方へ向かってぐるりと大きく宙返りすると、口腔内のエネルギー砲”プテロカノン”を撃ちながら、地面と平行に猛スピードで突っ込んで来る。
 玲は北へ、劾は南へ向かって、横っ飛びでコアトルスを躱す。後に残されたロックチェイサーは2台ともプテロカノンの餌食となり、そのままコアトルスの起こした風に飛ばされながら爆散した。

「やるしか無いか!」

 コアトルスの言葉の意味を気にする余裕は無い。それに向こうも「本気で来い」と言っているのだから。
 玲がビルの壁面を駆けあがり、コアトルス目掛けてナイフガンの引き金を引く。コアトルスも玲に狙いを定め、プテロカノンを撃つ。自在に飛び回る翼竜と、ビルからビルへと駆ける赤いロックマン。その間で激しい銃撃戦が展開される。

「沖藍ばっかりをやらせない!」

 地上の劾が、チャージバスターで援護射撃を行う。しかしコアトルスは、螺旋の軌道を描いて横回転する、戦闘機でいう”バレルロール”の動きで易々と回避する。
 コアトルスは大きく旋回しつつ高度を下げ、玲へ目掛けて一直線。プテロカノンの出力を絞って連射速度を早め、エネルギー弾を大量にばら蒔いた。

「くっ」

 玲はギリギリでナイフガン・ナイフモードを振るって、どうにかエネルギー弾をいなす。しかし体勢を崩してしまい、コアトルスが飛び去った後の突風に煽られて、ビルから真っ逆さまに転落した。
 頭から地面に叩きつけられるその前に、エアダッシュで付近のビルへと飛び、壁蹴り、そして宙返りで体勢を立て直して着地する玲。それと入れ替わるように、今度は劾が手近なビルを駆けあがる。

「チャージバスターは躱されたけど、サンブラスターなら!」

 劾がバスターに特殊武器チップを装填した時だった。数百メートル離れた空中で、コアトルスがピタリと静止し、機体を地面と平行にして劾の方へ向き直った。左の翼を前へ、右の翼を後ろへ向かって傾け、凄まじい勢いで横回転をしながら、劾の方へ突進をかける。

「ライフリング・ゲイル!!!」

 傾いた翼はいわば扇風機のプロペラ、モーターはコアトルス自身。巻き起こる激烈な風は、瞬く間に”横向きの竜巻”となって劾を直撃する。劾は踏ん張る間もなく吹っ飛ばされ、後方のビルに窓ガラスを破って突っ込んだ。

「う……」

 ビルの中で目を回しながらも、劾は考えた。コアトルス自身がプロペラとなる、あの竜巻攻撃の事を。

(プロペラか……だったら)

 ムクリと起き上がり、ロックコマンダーを操作する。 通信障害のただ中ではあるが、この近さなら……コマンダーを使った”ヒソヒソ話”は可能なはずだ。そう劾は考えた。
 果たしてその考えは当たっており、玲と通信を繋ぐ事に成功する。

「沖藍、ちょっと聞いて欲しい。僕に考えがあるんだ」









 

ロックマンツルギ 第11話「 DELTA STAGE 」後半

 投稿者:ZZZ  投稿日:2019年 3月14日(木)11時10分50秒 ysg110-050-010-040.dojyokko.ne.jp
返信・引用 編集済
  > No.10[元記事へ]

「どうした…もうお終いか?青いロックマン」

 歌舞伎町の空を、ぐるぐると旋回飛行するコアトルス。その目が、ビルから出てくる劾の姿を捉えた。
 劾はダッシュを繰り返して進みながら、空中のコアトルスへとバスターを撃つ。

「そうこなくてはな!」

 心なしか嬉し気な様子で、プテロカノンを放つコアトルス。劾のスーツにはあまりダメージを及ぼさないが、消しきれない着弾の衝撃が、幾度となく劾を転ばせかける。
 それでも劾はひたすら進み、歌舞伎町の中で最も高い”新宿キネマビル”へと向かう。たどり着くと、全速で壁面を駆け上がり、屋上に陣取る。

「何のつもりだ?わざわざそんなところに行くとは」

 コアトルスが訝るのも当然だった。辺りで最も高いということは、隠れる場所も逃げ場もないということ。飛行能力と射撃武器を持つ者を相手に”そんなところ”に陣取るというのは、普通に考えれば自殺行為である。

(赤いロックマンは…姿が見えんな。逃げたか?それとも、何かあるのか?)

 ロックバスターを躱し、弧を描いて飛びながら、コアトルスは思案する。地上を見渡すその目に、赤いロックマンの姿は映らない。代わりにあるのは、乗り捨てられた車や、割れた窓ガラスなどが散乱する路面、所々が破壊され黒煙を上げる歌舞伎町の街並み……そういったものばかりだ。
 劾の方へとコアトルスが視線を戻すと、ちょうど劾も、コアトルスの姿を探して振り向いていた。お互いがお互いを見つけ、目が合った時。コアトルスは決めた。

「いいだろう、見せてみろ!一体どういう作戦なのか!」

 両足の爪が発光する。それまでの戦闘機めいた機動から一転、獲物を狙う猛禽の体勢で、劾を攻めにかかる。 劾の右肩に爪の一撃が見舞われた。ロックスーツのウェアーバリアにいくらか威力を殺されるものの、それでも肩のアーマーを鋭く抉り取る。
 衝撃に、劾が呻いた。

「うっ!……まだだ」

 コアトルスが、彼方で大きく旋回して再び襲い来る。今度は爪ではなくプテロカノンによる攻撃だ。連発されたエネルギー弾が劾の足元を吹き飛ばし、胸に直撃して劾をのけぞらせ、さらにもう1発が肩に着弾した。バランスを崩したところへと、追い討ちの爪攻撃。転がり這いつくばりながら、劾はコアトルスを睨む。

「欲しい攻撃は、”それ”じゃない!」

 コアトルスが再び竜巻を起こし始めた。先程よりも回転速度を増した、最大威力のライフリングゲイルが発動される。

「来たっ!」

 劾はロックコマンダーを操作し、左腕を顔に近づける。木の葉のように飛ばされ、スーツごと身体が千切れそうなほどの風圧を全身に受けながら、力の限り叫んだ。

「今だあああああああ!!沖藍いいいいいいいいいいいいいいっ!!!!」

 コアトルスがキネマビルを通り過ぎた瞬間、玲が同ビルの窓ガラスを破って飛び出してきた。
 玲はエアダッシュでコアトルスの真後ろに躍り出た。すると、その体が一気にコアトルスへ向かって引き寄せられる。いや、”吸い込まれる”。
 扇風機の前に居れば、プロペラの起こす風を受けられる。逆に、後ろ側には空気を吸い込む力が発生している。それと同じなのだ。玲は追い上げるようにコアトルスへ迫り、その胴体をチャージガンで撃ち抜き、更にエアダッシュで加速する。

「せぇあッ!!」

 追い抜きざまに胸板へ叩き込む、チャージナイフ。コアトルスは、急激に勢いを失って墜ちていく。
 玲は再度のエアダッシュで体勢を立て直し、劾は特殊武器”ストリングバインダー”を用いて、それぞれ安全に着地を果たす。

「コアトルスは!?何処へ落ちた!?」
「あっち!」

 墜落したコアトルスは、街の一角で大の字になって倒れていた。駆け寄ってくる劾と玲を、コアトルスは虚ろな目で見つめる。

(私の技を、ライフリングゲイルを逆に利用するとはな……。青いロックマンが屋上に陣取ったのは、私の注意を"上"に引き付ける為か。その隙に赤いロックマンがビルに入り込み、そして青いロックマンの足下で、攻撃のチャンスを伺っていた。やるじゃないか)

 劾がコアトルスの傍に座り込み、問いかけた。

「さっきのはどういう意味だったんだ。僕らに、勝って欲しいだなんて」

 コアトルスは答えず、眠るように機能を停止していく。

(勝てよ、ロックマン。勝って、デルタを救ってくれ………)










―「私の望みは……君たちがデルタに”勝つ”ことだ」―

 コアトルスの言葉が、劾と玲の心にこびりつく。

「あいつ、一体どういうつもりだったんだろう」
「確かに、あの言葉は気になるけど。今はそれよりも、デルタの所へ向かわなきゃ」
「うん、分かってる……」

 2人は南へと走った。歌舞伎町のシンボルである、”歌舞伎町一番街アーチ”が見えてくる。
 メカニロイドに破壊されたのか、それともプテロカノンの流れ弾の為か、半壊し明かりの消えたアーチをくぐって、2人は靖国通りへ出る。

「!何かいる」

 一機のメカニロイドが路上に佇んでいた。反射的にそれぞれの武器を向けた2人の前で、メカニロイドは聞き覚えのある声を発する。

《よくここまで来たね、2人とも》
「デルタ!!」
《せっかく来て貰って悪いけど、それ以上攻め込まれたら流石に困るのでね。迎え撃たせてもらうよ。昨日新たに手に入れた、”手駒”で》
「手駒って、まさか」

大ガードの付近に閃光が走る。消えていく光の中から姿を現した物……いや、”者”を見て、2人は目を丸くする。サングラス状のバイザーで目元が隠れているが、しかし見間違え様など無い。
剣であった。

「やっぱり神崎か……」

 玲が眉間に皺を寄せる一方で、劾はメカニロイドに視線を向ける。

「手駒呼ばわりはないんじゃないのか、デルタ」
《何が悪いのかな?負けて拐われる方がいけないんだよ。……さて、彼にはせいぜい働いて貰わないとね。あのポンコツどもよりは役に立つだろう》
「お前は……シェルコーンの時といい、どうしてそんな」
《ボクに文句を言ってる場合じゃないと思うけど?》

 剣が、ロックブレードを構えゆっくりと歩み寄って来る。

《行け、ロックマン・ツルギ》
「わかった」

 剣はボソリと呟くと、ダッシュで距離を詰めて斬りかかって来る。
 咄嗟に、シールドショットでブレードを受け止める劾。

「うっ……」
「やめて、神崎!」
《呼び掛けても無駄さ、今の彼は”ドミネイトバイザー”で自我を封じられている。サングラスのような物がそれだ。バイザーを破壊すれば彼を正気に戻せるよ?まあ、無理だろうけどね》

  嘲笑うような口ぶりに苛立ちつつも、劾と玲はふと疑問を抱いた。なぜわざわざ、”攻略法”を教えてくるのか?と。
  そして2人の疑問などお構い無しに、剣は攻撃をしてくる。シールドショットを跳ねのけて劾に一太刀浴びせ、跳び退いたかと思うと今度は玲に襲い掛かる。

「スパークスマッシュ」

 ブレードより放たれた電撃が地を駆けた。玲はそれを回避して剣へ迫り、ナイフガン・ナイフモードを振るう。狙うはバイザーの破壊。デルタの言を信じるならば、それで剣は元に戻る筈なのだ。

 キィン!

 ナイフガンはあっさりと受け止められる。めげずに何度となくナイフガンを振るうも、切り結ぶばかりで、バイザーに刃を当てる事が出来ない。
 やがてブレードの一撃によって、逆に玲の方が構えを崩させられた。ほんの一瞬無防備になった胴体へ、剣の鉄拳が叩き込まれる。
 怯む玲。間髪入れず振り下ろされるブレード。

「危ないっ!!」

 劾が飛び出した。背でブレードを受け止めて玲を庇うと、背後の剣へ脇越しにバスターを撃つ。この一発が剣に直撃し、彼を吹っ飛ばし後退させる。
 それでも尚、剣は止まらないし隙が無い。先程のバスターは不意打ち故に当てる事が出来たが、そんな都合のいい事は何度も続かない。バスターもナイフガンの銃撃も、悉く捌かれてしまう。
 また、別の問題が劾と玲を苦しめる。

(バスターやチャージガンなら)
(ロックスーツのウェアーバリアを突破して、バイザーを壊せるだろうけど!)

 そう、破壊はされるだろう。バイザーだけでなく、その向こうにある剣の頭部も。
 だから2人とも、射撃は牽制や陽動にとどめ、ナイフガン・ナイフモードでのバイザー破壊を狙っていた。だが、とるべき行動が分かるかどうかと、それを実行出来るどうかは別の話なのだ。
 諦めずに攻撃を仕掛け続ける2人だが、ついに”その時”は来てしまう。大量のメカニロイドやコアトルス、剣との戦闘……そうして刃を酷使した結果が。

 ガキイィン!!

「あっ!!」

 ナイフガンの刃が、折れた。

「こうなったら、ロックスーツを脱がせるしか……!」

 ロックスーツを脱がせる、すなわちロックコマンダーの破壊。残された手はそれだけだ。
 玲が、劾の傍へ跳ぶ。

「ねえ桜井。ひとつ”頼み事”をするね」
「何をすれば良い?」
「私が神崎の動きを止めるから、そうしたらチャージバスターでコマンダーを壊して。いい?”私が神崎の動きを止めたら”チャージバスターだよ。」
「……ああ、絶対にやる!」
「よし!頼むよ!」

 剣へ向かっていく玲。その目は剣を真っ直ぐに睨む。彼が、右手に握るブレードをどう振るって迎撃して来るか。それを見極める為に。

(どう来るの?横一文字か、縦か、突きか)

剣の腕が向かって右へ動き、腰が反時計回りに捻られる。

(横……いや!)

 刃筋を跳び越えんと、玲が地面を蹴る。瞬間、ブレードの切っ先が下へ傾く。横薙ぎと見せかけてのフェイント、掬い上げるような斬り上げの一閃が、空中の玲へと迫る。
 一瞬。ほんの一瞬だけのエアダッシュで体の位置をずらし、玲はブレードを回避した。慣性で剣と横並びになるタイミングで、再度のエアダッシュを行い”下”へ向かう。

「うぉりゃあ!!」

 落ちるより早く大地に達する、それ迄のほんの一瞬で、全力で身を捻って脚を地面に向ける。剣の背後に着地し、そのまま剣の振り向きを許さず羽交い締めにする。
 玲と剣の動きが止まった。バスターを撃つ事を、劾はほんの少しだけ躊躇った。

「”絶対にやる”っていう約束だ」

 ほんの少ししか躊躇わなかったとも言える。
 チャージバスターによって剣のコマンダーが破壊され、白いロックスーツが消えていく。ロックブレードは剣の手を離れ、ガランガランと音を立てて転がった。
 玲のコマンダーも、同様に破壊されていた。

「何度も攻撃してごめん、神崎」

 劾が2人に駆け寄り、剣からバイザーを外す。ガクリと脱力した剣を、玲が抱きかかえて支えた。

「気絶してる……」
「しばらくは、そっとしておこう」

 慎重に、剣を地面に寝かせる。

《まさか、勝ってしまうとはね》

 メカニロイドから聞こえる、デルタの声。
 劾はバイザーを握り潰し、バスターでメカニロイドを破壊すると、しゃがみ込んで玲と目線を合わせた。

「ありがとう、沖藍」

 玲も、微笑みながら返した。

「こっちこそ。ちゃんと撃ってくれて、ありがとう。……それと、ごめんね。ロックマンを桜井ひとりにしちゃって」
「心配しないで。デルタの事はきっと、どうにかしてみせるから。」

 剣のことを玲に任せ、劾は走る。西新宿の高層ビル街を駆け抜け、そして辿り着く。
 東京都庁第一本庁舎へと。
 踏み込む前に立ち止まり、想いを巡らせる。博士の悲しみ、デルタに対する疑問の数々、デルタナンバーズの運命。それら全てに、此処で決着がつくのだろうか。

「デルタ……」

 意を決して、踏み出した。





……………





”悪”に勝て。”幸せ”のために。










第11話 終

>>次回:第12話「 DELTA 」
 

第11話 あとがき

 投稿者:ZZZ  投稿日:2019年 3月14日(木)11時09分22秒 ysg110-050-010-040.dojyokko.ne.jp
返信・引用
  「ツルギ」第11話、如何だったでしょうか。今回は管理人さんのアドバイスに倣い、「①あとがき ②後半 ③前半」という順で投稿しています。
無分割版→tp://zzznkbot.blog.fc2.com/blog-entry-30.html

コアトルス戦の場面は、イーグリード戦やペガシオン戦を下敷きにしています。また、”キネマビル”は、歌舞伎町に建つ”新宿東宝ビル”をモデルとしました。
アニゴジのキャストコメンタリーによれば、同ビル内のホテルのうちゴジラヘッドに隣接する部屋では「一定時間置きにゴジラの鳴き声が流れる」といった演出があるそうで、一度泊まってみたいものです。

挿絵は後日、無分割版の記事内に追加したいと思います。
 

レス

 投稿者:流星のD-REX=ZZX(管理人)  投稿日:2019年 3月 3日(日)11時03分40秒 i114-184-162-227.s41.a014.ap.plala.or.jp
返信・引用
  まずはZZZさんと√エレックさんのお二方とも、早速の再投稿感謝感激の極みです。
これで1616BBS管理人様からの返信メールを待つ必要が無くなりました。
先程投稿された小説も掲載させて頂きましたので確認していただければ幸いです。
>ZZZさん
字数制限に引っかかってしまいましたか…
実はこのサイトでは小説掲示板ができる前は通常掲示板にて小説が投稿されていたのですが
当時の通常掲示板も1616BBSより投稿可能な文字数は少なかったのです。
そこで僕はあまりに長い文章を投稿する際は予めコピペした文章を前後半に分け、
後半の方を先に投稿するという手法を思いつき、他の投稿者様もその手法で投稿していました。
もし字数制限に引っかかりそうな場合この手法を用いる事をお勧めします。
そして僕も自分の小説で後から読み返して誤字脱字、変な部分に気付くことがあり、その都度修正しております。

>√エレックさん
旧小説掲示板は長年の思い出が詰まっていただけに消滅は僕としても非常に残念に思います。
1616BBSに限らずinfoseek、atpaint、oekakibbs.com…等々と無料のネットサービスが尽く終了していくのは悲しき時代の流れを感じますね。

http://www42.tok2.com/home/drex/index.html

 

Re: 『雪のバレンタイン』(ゼアシン005話)

 投稿者:√エレック  投稿日:2019年 3月 2日(土)16時45分28秒 i60-47-39-84.s42.a015.ap.plala.or.jp
返信・引用
  > No.7[元記事へ]

長年使われて、たくさんの投稿がされていた掲示板が消滅してしまって残念に思います。
幸い、投稿したページはパソコンに保存していたのでコピペすることが出来ました。
最近では掲示板や個人サイトも少なくなってきていて寂しい気がします。

http://climbtorock.web.fc2.com/

 

『雪のバレンタイン』(ゼアシン005話)

 投稿者:√エレック  投稿日:2019年 3月 2日(土)16時37分17秒 i60-47-39-84.s42.a015.ap.plala.or.jp
返信・引用
   2月13日、夜。ラティとブレスが寝静まった頃。
寝室で家族4人で横になっていたところ、アイリスがゼロの手をギュッと握りしめてきた。
 数日前にこの日の夜に久しぶりに二人きりでデートをする約束をしていた。
心地よさそうにかわいい寝息を立てて眠っているラティとブレスに別れを告げ、
外へ出る支度をしたゼロとアイリスは二人きりのデートを開始した。

 2月中旬の夜となれば、外の気温がかなり下がっているのだが、それに反して
二人のアツアツぶりは続いていた。

 夜道。ゼロとアイリスのコートがぴったりくっついて寄り添いながら2人は歩いていた。
ちらほらと雪が降っており、白い息が漏れる。
「さむいね~」
「あ、ああ」
 気温は一桁で手にも寒さが堪えるが、久しぶりの二人きりの夜道ということで両者の心が浮ついており、
寒さはさほど気にならなくはなっていた。
アイリスはゼロが手を入れているコートのポケットに手を入れて、ゼロの手と絡ませてきた。
「お、おい…」
 突然の出来事に戸惑うゼロ。
「ふふっ、あったかぁ~い」
 ポケットの中でゼロの手を握ったり摩ったりしてアイリスは互いの手を温め合った。
 そしてゼロは指でアイリスの手を撫でまわす。
「やぁ~ん、くすぐったぁ~い」
「ヒヒッ」
 ちょっとしたイタズラ心でアイリスを喜ばせる。

「久しぶりにこうして二人きりで歩いていると初めてデートした時の事を思い出すね…」
「ああ、そうだな…」

 繁華街。ふと、近くにゲームセンターがあるのが二人の目に入った。
「ちょっとやっていこうよ」
 アイリスがゼロの腕を引いてきた。
「うっし、たまにはゲームの中で暴れてみるか」

 二人がゲーセンの中に入ると、様々なアーケードゲームの筐体から発せられる音や音楽が
ごちゃまぜに耳に鳴り響いてきた。
「ゲーセンか~。久々に来たな」
 普段、ハンター業務や育児に追われていて二人きりのデートする機会が減っていたことも
あって、ゲーセンに入るのは久しぶりだった。

 しばらく様子を眺めて歩いていると一つのゲーム機に目が留まった。
「お、新作か」
 『ロックマンアビリティ』という元はパチスロの作品がゲーム化されたものだった。
今作の新キャラの他に過去シリーズのキャラも使用でき、二人で協力プレイも可能だ。

「二人でプレイ出来るのね!」
「よし、やるか」
 ゲーム機の前に長椅子が置いてあり、アイリスは1P側に座るゼロにぴったりくっつけて
座った。
 コインを投入する。
 ピロロォ~ン。

 効果音と共にタイトル画面が現れ、ボタンを押すと、キャラクターを選択する画面が現れた。
「お、たくさんいるな」
「どれにしよう~?」
 レバーを操作して、選択可能なキャラを眺める。

「オレは、主人公のコイツにするぜ」
 ゼロはロクアビ版のロックマンを選択し、決定ボタンを押した。
「じゃあ、私はヒロインの子」
 アイリスはそのヒロインのロールを選択。

 雪原ステージ。
キャラの背後からの視点で3DCGで表現されたロックマンとロールがライドチェイサーで
雪原を駆け抜ける。動きがリアルでスピード感ある背景も迫力だ。
 しばらく進むと中ボスっぽい巨大なカニ型の敵が現れた。ライトチェイサーから降りた
ロックマンとロールが戦闘態勢に入る。
「来たな!」
「いくわよーッ!」
 操作はシンプルで、左レバーで移動、Aボタンで攻撃、Bボタンでジャンプ、Cボタンで
武器チェンジだ。
 ズドドドド!!
 先手必勝と言わんばかりにAボタンを連打して敵にダメージを与えていく、ゼロとアイリス。
敵に着実にダメージを与えており、敵の体力ゲージがみるみる減少していく。
 ドカァアーーン!!
 あっという間に敵は破壊された。
「ま、最初のステージだしな、こんなもんか」
「ラクショウね」
 しばらく進むと敵の基地の中に侵入、ボスが現れた。巨大な大型のボス、マオー・ザ・ジャイアント。
「ちっ、嫌な事を思い出しちまうぜ」
 元は実際にハンターベースで起きた事件の物がモチーフになっていて、デザインもほとんど同じだった。
 こいつもラクショウ、かと思われたが、途中から犬型のザコ敵が現れ、思わぬピンチに陥った。
ゲームの腕が上手いと敵が強くなるシステムのようだ。
「ちっ、ザコの犬が邪魔だッ!」
 連射でザコをなぎ倒す。
「あ~ん、このザコの犬の動きが早くて避けられない~」
 ザコの動きが早く、避けるのも、攻撃を当てるのにも苦戦するアイリス。
「む~~~」
 思い通りに動かせなかったりして焦り出し、よりゲームにのめり込んでいく。
 もにゅ!
(うぉっ!)
 なんと、アイリスが熱中するあまり、密着しているアイリスの太ももがゼロに押し込まれてきた。
この絶妙な柔らかさと張りと生暖かさのハーモニーによる甘い誘惑に我を忘れ、ゼロはドキドキしてしまった。
「あっ!」
 ドカァァアーーーン!!
 ゼロが気を取られている所で敵にやられてしまった。
 GAMEOVER。
「あぁ~ん、やられたぁ~」
「ミスっちまったか…」
(まあ、ゲームだし、ハンターの実戦では、より大胆な技を繰り出せるんだが、
操作に手こずって苦戦しちまったな…。そして、突然、密着してきたアイリスの太ももの感触に
クラクラしちまった…。オレとしたことが…)
「やられちゃったけど楽しかったね」
「そうだな」
 ゲームを終えてゼロが立ち上がると、アイリスはゼロの腕を抱き寄せて顔を寄せてきた。
ゼロはさきほどの胸のドキドキが冷めないまま外へ歩き出した。
(こんな感覚も久しぶりだな…。ハンター業務の忙しさで忘れかけていたが、アイリスとデート
し始めた頃はこんな感じでドキドキの連続だったな…)

 喫茶店。
ゲーセンを出た二人は近くの喫茶店に寄ることになった。
「ちょうど小腹が空いてきた頃だ」
「二人きりだし、カップル専用のドリンクが飲みたいな」
「いつか一緒に飲んだなあ。久しぶりに再チャレンジするか」
 店員を呼んで『マオー・ザ・ジャイアントジュース』を注文。
「さっきのゲームを思い出すな」
「そだね」
 時間帯が深夜ということで周りの客もカップルが多かった。

「やっぱり隣に座ろ」
 テーブルを挟んで向かい合わせで座っていたアイリスだったが、長椅子に座っているゼロの
隣にアイリスが密着してきた。
「フフフッ」
「お、おい。近すぎないか」
 思わず慌てふためくゼロ。
「周りもカップル多いし~、私もゼロに甘えたくなってきちゃった」
「ま、まあ、久々のデートだし、いいよな…」
 近頃はラティやブレスがすねないように遠慮してアイリスと必要以上にベタベタ密着するのは
避けていたのだが、今は二人きりのデートだ。遠慮するのも野暮だとゼロは思った。
「さっき、ゲーセンでもドキドキしてたでしょ?」
「バ、バレてたのか」
「フフッ、ゼロが慌ててたのがおかしくって。思わず付き合い始めた頃の事を思い出しちゃったなぁ」
「ははは、実はオレもだ」

「ゼロ…」
「アイリス…」
 互いの目を数秒見つめ合った後、互いの意思が通じ合い、二人は口づけを交わした。
「うぅ~ふぅ~ん」
「ちぅ~」

 数分後。
「あのぉ~、お客様~?」
 注文したカップル専用ドリンクが二人の前に運ばれた。
「あ、来たぞ!」
「あ、え、は、はい!?」
 ゼロとアイリスは慌てて、お互いの口から口を離した。
「ではまた、ご注文の時はお呼び下さいませ~」
 店員は去っていった。去り際に笑みが浮かんで見えたのは気のせいではないはず。

「よし、飲むか」
 巨大なドリンクには2本合体したストローが刺さっている。
「これ、二人で吸うやつか」
「もちろん!」
 先が二つに分かれており二人で同時に吸わないと飲めない、ラブラブストローというやつだ。
今更照れる仲でもない気がするが、久しぶりという事で気恥ずかしい感じがした。
「ちゅーー」
「ちゅーーー」
 二人同時に吸う事でストローにジュースが送り込まれていく。
「プッ、クスクス…」
 アイリスが突然ストローから口を離して笑い出した。
「?どうした?」
「ゼロがストローで吸ってる時の顔がおかしくって」
「ははは」
 実はゼロはアイリスにウケてもらおうと、飲んでいる最中に意図的に目を泳がせたり
変な顔をしておどけてみせたりしていた。
 再びストローで吸う二人。
「プッ…」
 アイリスはまたストローを口から離した。今度は手で口を押えている。
数秒後、アイリスは自身を落ち着かせ、
「ちょっと。飲んでる最中に変な事するのやめてくれな~い?」
 アイリスは笑いをこらえるのに精一杯だ。
「わりぃわりぃ、アイリスの反応が面白くて、つい、な。ははは」

 次は、ジュースに盛られているデザートのオレンジをアイリスが手でゼロの口元へ運んでいく。
「はい、あぁ~ん」
「あぁ~ん」
 もぐもぐ。


 その頃、自宅で眠っているラティとブレスは…。
「ぶぇえ~~ん、ぶぇえ~~ん」
 ブレスが目を覚まして、目の前からアイリスがいなくなっていることに気づいて泣き出していた。
「うぅ~~ん」
 その鳴き声に気づいて近くで寝ているラティも目を覚ます。
「ぶぇええ~~~~ん、ぶぇええ~~~~ん!!」
 泣き声の声量がさらに増していく。
「ブレちゃんが起きちゃった…。あれ、パパとママは…?」
 ベッドの近くにあるテーブルの上に置いてある書き置きに目が留まる。

『パパとママは、ひさしぶりにデートにいってきます。
 パパとママがいないあいだ、ブレスのことをおねがいね。 ママより。』

「なんだ、パパとママ、出掛けちゃったのか~」
「ぶぇええ~~~~ん、ぶぇええ~~~~ん!!」
 ラティは泣いているブレスを抱きかかえて、あやし始めた。
「ブレちゃ~ん、泣いちゃダメでちゅよ~~。パパとママはお出かけ中でちゅよ~~」
「ぶぇええ~~~~ん、ぶぇええ~~~~ん!!」
 ブレスを揺らしてあやし続けるラティ。
「ぶぇええ~~~~ん、ぶぇええ~~~~ん!!」
「う~~ん、泣き止まないでちゅね~…。お腹が空いたのかな、それともおしっこ、かなあ…」
 そこでラティはある事を思い出した。
「ああ、そうだ。パパとママがいない時のために世話をするコピーロイドがあるんだった」
 寝室の外にある、そのコピーロイドは、スイッチを入れると、あらかじめインプットしてある人と
見た目、質感、人格が本物そっくりに再現され、指令を出すと指示通りに動き、その時に
経験した事の記憶がインプットしてある人と後で融合する事が出来る、というものだ。
「こうなったら、ママのコピーロイドにお願いした方がいいわね」
 ラティが赤ん坊の頃も、ゼロとアイリスがハンターやオペレータの仕事で忙しい時は、
この育児用のコピーロイドにお世話になったことがある。

 ピッ。
 コピーロイドの鼻にある赤いスイッチを入れる。インプットしてあるデータはアイリスが選択されている。
わずか数秒で、小さな黄色い人形だったコピーロイドが巨大化して、アイリスと本物そっくりの姿に
変身した。鼻が赤くなっている以外はアイリスと見分けがつかない。
「こんばんは、アイリスのコピーロイドです。アイリスへ送る記憶を一時的に構築する事が出来ます」
「こんばんは、もう一人のママ。えっと、今、パパとママがいなくて、ブレスが泣いちゃってて…」
「わかりました。私の出番ですね」

 コピーロイドはブレスの元へ行き、抱きかかえた。
「ぶぇええ~~~~ん、ぶぇええ~~~~ん!!」
「ブレちゃ~ん、ママでちゅよ~~」
 コピーロイドがブレスをあやした。
「ぱぁーぱいー!ぱぁーぱいー!」
 すると、ブレスはコピーロイドにおっぱいを要求してきた。
「おっぱいでちゅね~、ちょっとお待ちくだちゃいね~」
 コピーロイドでもおっぱいも出るように設計されている。
ラティはコピーロイドの背中のハッチにあるパネルを操作して、『甘えん坊レベル』をMAXに
設定した。甘えん坊レベルMAXはブレスに対して最高に喜びを与える接し方をする、という
設定である。
 アイリスの姿をしたコピーロイドは服をさっそく脱ぎ始めた。ブレスに安らかな眠りを提供するには
生まれたままの姿でブレスを抱いて寝るのが最善だと考えたためである。
さすがに全裸はマズイと判断したのか、下着はつけたままで、ブレスが飲むおっぱいのところだけ、
下着を外した。
「ぱぁーぱいー!ぱぁーぱいー!」
 これにブレスは興奮し始め、コピーロイドのアイリスのすべすべのボディに思いっきり抱きつき始めた。
「ふふふ、甘えん坊さんね」
「ぱぁーぱい~~~」
 ブレスはおっぱいをしゃぶりながら、再び眠りについた。

「これで一安心ね」
 ラティはほっと胸をなでおろし、再び隣で眠りについた。


 喫茶店。
食事を終えて、会計を済ませた、ゼロとアイリス。時間は0時を過ぎていた。
「のんびり飲んでたらけっこう時間経っちまったな」
「ゼロったら、飲んでいる時、私を笑わせすぎよ」
「ははは」
「ブレスはぐっすり眠っているかしら」
「ラティもついているし、大丈夫だろ」
「そうね」

 しばらく歩いて、二人は近くにある公園のベンチに座った。
「ふふっ、実は今日はゼロに渡したい物があるのでした」
「え?なんだ…?気になるな…」
 アイリスは水色のコートのポケットからピンクの紙で包装されているハート型の箱を取り出した。
「今日、2月14日、はバレンタイン。だから…」
 アイリスはハート型のチョコをゼロに手渡す。
「おぉおーー、チョコレート?!うわぁあ~、ありがとう、マジで嬉しいぜ…」
「フフッ」
 ゼロは大喜びしてアイリスからチョコを受け取った。同時にゼロはアイリスがとても愛おしく感じ、
瞬間、アイリスを抱き寄せた、強く…。
「ゼロ…?」

 アイリスを抱き寄せている最中、ゼロは、数年前、レプリフォース大戦で大破したアイリスが
修理され、無事に元の姿に戻った時の事を思い出していた。
「ゼロ…」
 その時もゼロはアイリスを強く、強く、抱きしめていた。
「すまない…。お前の気持ちも分かってやれず、辛かっただろう…。
そして誓おう、アイリスを、もう、2度と一人ぼっちにはさせないことを…!」
「ゼロ…」
 アイリスは涙した。それから、アイリスの気が沈んだ時にはゼロがさりげなく励ますようになった。
そしてアイリスはそんな彼により深く、惹かれていった。

 ゼロは、この時の事を思い出すと、心の中でもう一度、アイリスを幸せにすることを誓うのであった。
「アイリス、今までありがとう。そしてこれからもよろしくな…」
「うんっ!」
「そうだ、帰りにゲーセンでプリクラ撮って帰ろうぜ。そして今度の休日にはラティとブレスも連れて
4人で記念写真撮りたいな」
「いいわね、ラティとブレスもきっと大喜びするわ」

---

こんばんは。
今回はバレンタイン絵に合わせた話で、ゼアシンの続きの5話を書きました。
ラティとブレスの子育てとハンター業務の両立もあって、今回は久しぶりに二人きりでデートをした、という話です。
アツアツぶりが再び増したり、二人とも初デートの時のことを思い出したり、ラティがブレスの世話をしたり、ゼロがアイリスへの愛を再認識したり、などの展開を入れました。
アイリスはデート中はよく笑ってくるイメージがなんとなくあります。

http://climbtorock.web.fc2.com/

 

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